プラセボ効果は期待できる?
プラセボ効果の期待性
「プラセボ効果が期待できるからインチキ“治療”法も容認すべき」とする意見がある。 確かに、精神的状態が症状と直結する疾患については、プラセボ効果による治療効果は期待できるかもしれない。 また、自覚症状については、プラセボ効果が臨床試験の結果を左右する余地があるようである。 しかし、プラセボ効果には否定的な研究結果もあり、プラセボ効果による治療効果が科学的に肯定されたわけではない。 少なくとも、がん治療に関して、有益な治療効果が得られると考えるだけの根拠はない。
では、何故、医学界で、真面目にプラセボ効果が論じられるのだろうか。 それは、医薬品の効果を証明する上で、プラセボ効果の可能性を排除する必要があるからである。 プラセボ効果があるともないとも証明できない限り、プラセボ効果の影響が出ないような治験デザインでなければ、効果を証明したことにならないのである。
プラセボ効果と呼ばれる物
一般に、プラセボ効果と呼ばれる物は、全て、治療効果を意味しているわけではない。 プラセボ効果は、自覚症状を計る場合に、現れやすいとされている。 しかし、プラセボ効果による自覚症状の改善には次の2通りの可能性がある。
- 思い込みによって生じる誤差の偏り
- 本当に生じている治療効果
自覚症状は、患者の自己申告でしか計りようがない。 そのため、どうしても、結果には誤差が生じやすい。 ただし、患者に思い込みがない場合は、自己申告による誤差は方向にバラツキがあるために、多数のデータの平均を取ることで誤差が相殺されると期待される。 しかし、患者に思い込みがある場合は、自己申告による誤差が同一方向(良くなるという思い込みならば症状改善方向)に固定されるために、多数のデータの平均をとっても誤差が相殺されることはなくなる。 そうした誤差の偏りが発生すれば、実際の患者は自覚症状の改善を実感していないにもかかわらず、改善を実感したかのようなデータになってしまう。 よって、プラセボ効果が生じたとしても、それは、治療効果を示す根拠とはならない。 プラセボ効果が、必ずしも、治療効果であるとは限らないのである。
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