免疫療法への偏見?

著者の評価 

この記事を書いた窪田順生氏は経済等の記事では非常に面白い記事を書く人である。 しかし、このような記事を書いているようでは、情報を検証する能力をもっと身につけた方が良いだろう。 「免疫療法」と「標準治療」のそれぞれを一括りにし、両者を対決させるという手法はインチキ療法に良く使われる典型的な手口である。 「『免疫療法』をうたって、科学的根拠のない治療を提供している悪徳クリニック」の主張を真に受け、第三者である医療関係者の検証も受けずに、そのまま本人の主張を垂れ流すことはジャーナリストとしてあるまじき行為だろう。

記事内容 

少し前、日本を代表する有名がん治療施設2つから「余命宣告」を受けながらも、回復を果たした60代の「がんサバイバー」とお話をする機会があった。

ご本人が匿名を希望されているので本稿では「Aさん」としておくが、このAさんは2013年10月、「原発不明がん」という治療が難しいがんになった。 見つけた時は既にあちこちに転移していたということで、担当医から「ステージ4」と診断され、手のほどこしようがない状態だった。

そんな末期がん患者だった方が、いまやピンピンして楽しそうにおしゃべりをしているのも驚きだったが、それよりも衝撃的だったのは、Aさんからうかがった友人の話だった。

Aさんが回復してほどなく、今度は古くからの友人2人が相次いでがんだと診断されてしまった。 両者とも進行が早く、医師から「もう効く薬はありません」と非情な宣告をされたという。

そこで、友人らはAさんが行った治療に関心をもった。 「余命宣告」から「生還」させたのだから当然だ。 調べてみると、自分たちのがんにも効果があるかもしれないという。 早速、それぞれの担当医にそのことを申し出た2人だったが、返ってきたのは耳を疑うような言葉だった。

「そういう治療を望まれるのなら、もうここには来ないでいただきたい」

自分の「命」を握られる人にここまで言われて、逆らえるほど人間は強くはない。 結局、その希望はかなえられることのないまま、彼らは帰らぬ人となった――。

世界で認められている「免疫療法」が、日本で「インチキ」になる背景 (1/5) - ITmedia


そんな話をし終えたAさんは、時折言葉をつまらせながら、胸の奥にしまっていた不満をぶちまけた。

「確かに、この治療は万人に効果があるものではない。 でも、私に効いたのはまぎれもない事実ですし、彼らに効いた可能性もゼロではない。 なにも打つ手がないというなかで、患者が自分の意志で選択したものを、脅すように潰すのは、医師として異常だと私は思いますよ」

世界で認められている「免疫療法」が、日本で「インチキ」になる背景 (2/5) - ITmedia

この体験談からは、「『余命宣告』から『生還』させた」「私に効いたのはまぎれもない事実」とは到底言えない。

  • 「余命宣告」は確率論でしかない
  • 「回復」前の状態の記載もなく、「回復」の診断基準も明確でない
  • 具体的な治療経歴などが明確にされていない
  • 必要事項が全て明らかにされていても、一例では因果関係を判断することはできない

「そういう治療」がどういうものなのかを明らかにしなければ、「それぞれの担当医」の「言葉」が妥当かどうかは判断できない。 そして、この後に明かされる「Aさんが行った治療」の内容を聞けば、「それぞれの担当医」がそのような反応をするのは当然と言える。

確かに、「免疫療法」をうたって、科学的根拠のない治療を提供している悪徳クリニックが存在しているのは事実だ。 そのおかげで、日本では「免疫療法=怪しい治療」という認識が社会にすっかりと定着しているわけだが、世界を見渡せば、この認識はかなり時代遅れというか、「勘違い」と言わざるを得ない。

世界で認められている「免疫療法」が、日本で「インチキ」になる背景 (2/5) - ITmedia

「『免疫療法』をうたって、科学的根拠のない治療を提供している悪徳クリニックが存在しているのは事実」であるのに、「『免疫療法=怪しい治療』という認識」を「『勘違い』と言わざるを得ない」と主張して、免疫療法を全て一括りにした信頼回復に努めようとしている所がおかしい。 科学的根拠のある免疫療法があるなら、それを具体的に挙げて説明すれば良いだけである。

例えば、ゲノム研究の世界的権威として知られる、米・シカゴ大教授でもある中村祐輔氏は自身のブログでこう述べている。

『科学として免疫療法は確固たる位置を築いたことは明白だ。 日本では、いい加減な免疫療法が広がることを問題視し、憂慮している人が少なくないようだが、欧米ではいろいろな免疫チェックポイントを対象とする治療薬や多種類の免疫療法の検証が進んでいる。 「怪しい免疫療法が広がることを懸念して、まともな免疫療法を抑え込む」ことは非科学的だ』 (中村祐輔のシカゴ便り 2017年4月2日)

世界で認められている「免疫療法」が、日本で「インチキ」になる背景 (2/5) - ITmedia


先ほど引用した中村氏のブログには、こんなことも述べられている。

『国際的な環境は、「何かが起こる危険があるから、何もしない」といっているような悠長な状況ではない。 「真っ当な免疫療法の科学的な妥当性を評価しつつ、怪しげな免疫療法を抑え込む」ことが、国・学会・医学研究者・医師を含む医療従事者の使命のはずだ。』(同上)

「怪しげな免疫療法」がまん延している責任の一端は、科学的に認められている免疫療法をいまだ「インチキ」呼ばわりする日本の医師たちにもあるのではないか。

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中村祐輔氏は国立がん研究センター研究所長も経験された立派な方のようだが、この記事の内容を肯定しているわけではない。 元のブログ記事がんの延命から治癒へ;プレシジョン医療―(4) を読むと、「憂慮している人」とは日本人研究者のことであって、それによる「有効性が科学的に実証」や薬事承認の遅れを懸念していることがわかる。 氏は、日本の医療現場で「科学的に認められている免疫療法をいまだ『インチキ』呼ばわり」しているとは一言も言ってないし、ましてや、「『怪しげな免疫療法』がまん延」する原因が「科学的に認められている免疫療法をいまだ『インチキ』呼ばわりする」ことにあるなどとは一言も言っていない。

さらに、氏は、「科学として」「確固たる位置を築いた」免疫療法について、「免疫チェックポイントを対象とする治療薬」等を挙げており、「樹状細胞を刺激した治療法」等には研究の価値を認めつつも「有効性が科学的に実証」されていないことを認めている。 「怪しげな免疫療法を抑え込む」ことを「国・学会・医学研究者・医師を含む医療従事者の使命」としていることからも、免疫療法を全て一括りにして信頼させようとしていないことは明らかである。

そもそも、この記事の構成の大部分は「Aさんが行った治療」に充てられているが、中村祐輔氏は「Aさんが行った治療」についての見解は表明していない。 氏がブログで主張している内容と、この記事の主要な内容は関係がない。 それでも、氏を引き合いに出すなら、氏に「Aさんが行った治療」に関する意見を取材して記事に載せるべきである。 それをせずに、あたかも、氏が記事全体を肯定しているかのように見せかけるなら、インチキも甚だしい。

では、なぜ日本では、中村氏の言う「非科学的」なことが当たり前になっているのか。

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氏の言う、「非科学的」なこととは、研究の分野で「怪しい免疫療法が広がることを懸念して、まともな免疫療法を抑え込む」ことである。 氏は、医療現場でエビデンスを無視して効果のある免疫療法が忌避されているなどとは一言も言っていない。

いろいろなご意見があるだろうが、個人的には「免疫療法」というものに対する、2つの「誤解」が重なったことが大きいと考察している。

まず、ひとつ目の誤解は、「免疫療法にはエビデンスがない」というものだ。 これがいかに「非科学的な言説」なのかということを、20年近く日本で免疫療法の研究や論文発表を行い、Aさんの治療も担当した瀬田クリニックの後藤重則院長が解説する。

「免疫療法にエビデンスがないというのは事実と異なります。 例えば、米国臨床腫瘍学会の論文では、免疫療法に関して6756人の患者さんを対象に18のランダム化比較試験が行われており、免疫細胞療法やワクチンが有効であったと結論づけています。

これを日本医療機能評価機構が定めたエビデンスレベルに照らし合わせると最高位。 他にも信頼のおけるジャーナルに掲載された論文など星の数ほどあります。 ただ、全体をみると、医薬品のような製薬会社が行う大規模試験ばかりではないため、どうしてもエビデンスのレベルが低いと言われてしまうだけの話なのです」

そもそも、エビデンスというものは「あり」「なし」で語られるような単純な話ではない。 にもかかわらず、あたかも免疫療法にはまともな臨床試験ゼロ、科学的な論文もゼロという、「印象操作」と言ってもさしつかえない露骨なバッシングが行われているのだ。

世界で認められている「免疫療法」が、日本で「インチキ」になる背景 (3/5) - ITmedia

「あたかも免疫療法にはまともな臨床試験ゼロ、科学的な論文もゼロという、『印象操作』と言ってもさしつかえない露骨なバッシング」をしている医療関係者とは一体どこにいるのだろうか。 免疫療法剤のクレスチンが国内売上第一位だった時期もある。 インターフェロンやインターロイキン等のサイトカインも良く使われてきた。 ペプチドワクチンも研究されている。 モノクローナル抗体も免疫療法の一種であり、その代表格のハーセプチン(トラスツズマブ)、リツキサン(リツキシマブ)、アバスチン(ベバシズマブ)は国内ベストセラーである。 最近は、オプジーボ(ニボルマブ)などの「免疫チェックポイント抗体」も有名になった。 オプジーボ(ニボルマブ)は使われすぎで日本の医療財源がパンクされないかと心配されたほどである。 ほとんど医療関係者は、エビデンスがある免疫療法は治療に用いるが、エビデンスがないものは用いないという姿勢であろう。 ピンからキリまで免疫療法という一括りにして「免疫療法にはエビデンスがない」と主張する医療関係者などほとんどいないだろう。

また、「免疫療法」という一括りにして「米国臨床腫瘍学会の論文では、免疫療法に関して6756人の患者さんを対象に18のランダム化比較試験が行われており、免疫細胞療法やワクチンが有効であったと結論づけています」も全く意味不明である。 個々の「ランダム化比較試験」において、その対象となった個々の療法の効果の有無を語るなら妥当な科学的評価である。 しかし、「免疫療法」という一括りにしてしまっては、「日本医療機能評価機構が定めたエビデンスレベルに照らし合わせる」等は意味がない。

尚、「瀬田クリニック」が行なっている「免疫細胞治療」は、体外で免疫細胞を培養して体内に戻す治療法の総称であり、一時期は夢の治療法になるのではないかと騒がれたものだ。 しかし、現在の世界的な評価では、ほとんど治療効果がないものとされている。 日本でも活性化自己リンパ球移入療法が高度先進医療に組み込まれていたが、現在は外されている。 「先進医療の各技術の概要(2018年5月15日)では、自己腫瘍・組織及び樹状細胞を用いた活性化自己リンパ球移入療法が辛うじて先進医療に残ってはいるが、保険承認される目処は立っていない。 一部の免疫療法が効きやすい悪性黒色腫等には多少の効果があるが、既存のサイトカイン療法の方が効果が高く、かつ、圧倒的にコストが安い。 ようするに、「免疫細胞治療」は、世界的に見れば、高額な割に期待するほどの効果がない終わった夢なのである。 だから、「免疫細胞治療」を行うクリニックは、まさしく、「『免疫療法』をうたって、科学的根拠のない治療を提供している悪徳クリニック」に該当する。 元がまともな医学研究から出たものであり、一部のがんには多少は効く点からは、それらの中でもマシな方とは言えなくはないだろう。 しかし、「免疫細胞治療」が極めて高額な点を問題視し、むしろ、それらの中でも悪徳な方だ評価とする医療関係者も少なくはない。

この逆風にさらにダメ押しのような形となったのが、2つ目の「免疫療法は標準治療と相容れないもの」という誤解だ。

現在、日本のがん治療は、「手術(外科治療)」「薬物療法(抗がん剤治療)」「放射線治療」という、いわゆる三大治療が主流となっており、「標準治療」と呼ばれている。 そのため、免疫療法を行う医師たちは、これらの治療を否定し、まるでその効果に対して頑なに背を向けている「異端の医師」というようなレッテルを貼られることが多いが、前出の後藤院長は、これもまったく「非科学的な話」だと一蹴する。

世界で認められている「免疫療法」が、日本で「インチキ」になる背景 (3/5) - ITmedia

既に紹介したように、日本でも広く免疫療法は取り入れられており、その医師たちが「『異端の医師』というようなレッテルを貼られる」ことはない。 「『異端の医師』というようなレッテルを貼られる」のは、「免疫療法を行う医師たち」ではなく、「『免疫療法』をうたって、科学的根拠のない治療を提供している悪徳クリニック」である。

「例えば、抗がん剤治療を集中的に行った後に、その効果をさらに引き出すために免疫療法をやるなど、標準治療と免疫療法は連携することも少なくない。 事実、私たちのクリニックにも、呼吸器、消化器内科、婦人科、放射線治療科などさまざまな領域で、がん治療を専門にやってきた医師がいますし、東大医学部、順天堂、東京医科大学などの医療機関でも、連携して治療にあたってくれることも少なくない」(後藤院長)

世界で認められている「免疫療法」が、日本で「インチキ」になる背景 (3/5) - ITmedia

これは、「瀬田クリニック」が行なっている「免疫細胞治療」が、「『免疫療法』をうたって、科学的根拠のない治療を提供している悪徳クリニック」ではない根拠とはならない。 「東大医学部、順天堂、東京医科大学などの医療機関」で「連携して治療にあたってくれる」医師が患者の意志を尊重していることを示すだけである。

確かに、冒頭に登場したAさんも、もともと有名がん治療機関で化学療法を受けていたところ、友人やセカンドオピニオンの勧めもあって、瀬田クリニックで免疫療法を受け始めたのだが、そこから両方の医師が綿密に連携して、互いの効果を経過観察しながら治療にあたった。 このように、化学療法と免疫療法を二者択一で選ばせるのではなく、互いのいいところを引き出し、補完し合うことが、Aさんの「奇跡の回復」につながったのだ。

世界で認められている「免疫療法」が、日本で「インチキ」になる背景 (4/5) - ITmedia

ようやくここで、「冒頭に登場したAさん」が「受け始めた」ものが「瀬田クリニック」が行なっている「免疫細胞治療」であることが明かされる。 「化学療法と免疫療法を二者択一で選ばせるのではなく」両者を併用するなら、どちらか一方が効いたのか「互いのいいところを引き出し、補完し合」ったのかは知りようがない。 それで「瀬田クリニックで免疫療法を受け始めた」ことで「『余命宣告』から『生還』させた」「私に効いたのはまぎれもない事実」と宣伝するなら詐欺である。

だが、残念ながらこのようなケースはまだ少なく、Aさんの友人たちの担当医のように免疫療法という響きを聞くだけで、拒絶反応を示すのが大半だ。

世界で認められている「免疫療法」が、日本で「インチキ」になる背景 (4/5) - ITmedia

「瀬田クリニック」は書籍等での宣伝を行なっており、悪い意味で有名である。 「Aさんの友人たちの担当医」が「拒絶反応を示す」のは、「免疫療法という響きを聞」いたからではなく、悪名高い「瀬田クリニック」だったからだろう。

「自分たちがやっている治療や、投与している抗がん剤を否定にされているような気になってしまうのでしょう。 実際、週刊誌などで免疫療法バッシングをしている方をみると、ほぼ例外なく腫瘍内科、つまり抗がん剤の専門医。 我々はこれまで一度だって、抗がん剤を否定するようなことを言ったことがなく、互いのいいところを生かして、ひとりでも多くの患者さんを救いたいと思っているだけなのに残念ですね」(後藤院長)

世界で認められている「免疫療法」が、日本で「インチキ」になる背景 (4/5) - ITmedia

「自分たちがやっている治療や、投与している抗がん剤を否定にされているような気になってしまう」とは全く意味不明である。 そのようなことは「腫瘍内科、つまり抗がん剤の専門医」でも治療できない患者に治療効果を産んでからにすべきである。

この断絶をさらに深くしたのが、メディアである。 週刊誌の中吊り広告の見出しなどを想像してもらえば分かりやすい、どうしても多くの人の関心をひくために、「薬は効かない」「医者にダマされるな」「がんは放っておけ」などの極論に走りがちだからだ。

世界で認められている「免疫療法」が、日本で「インチキ」になる背景 (4/5) - ITmedia

それらの「週刊誌の中吊り広告」が罪深いことは今更言うまでもない。

もちろん、断絶してしまうだけの土壌が、日本の医療界にあることも忘れてはならない。 先ほど中村氏のコメントで引用したように、欧米、さらには中国まで医療界をあげて免疫療法の研究に力をいれているが、日本の大学病院や医学部でもそのような動きはおろか、専門的な免疫療法について教える体制もない。

自分たちが大学で習わず、盛んに研究もされていないものを患者さんから尋ねられても、答えられるわけがないし、勧められるわけではない。 そうなると、「怪しい治療だから止めたほうがいい」と言うのが安全だ。

世界で認められている「免疫療法」が、日本で「インチキ」になる背景 (4/5) - ITmedia

既に紹介したように、日本でも広く免疫療法は取り入れられているのが実情である。 エビデンスのある治療を「怪しい治療だから止めたほうがいい」と言う医療関係者などまともな人ならまずいないだろう。

だが、このような言葉に従っているだけでは、Aさんの友人のように悔いを残すことなる。 当然だ。 海外へ行けば、まだ受けることができる治療があるのに、日本では「そんなおかしな気は起こさず、黙って死を受け入れなさい」と言われているのに等しいからだ。

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「海外へ行けば、まだ受けることができる治療がある」のは事実だが、既に説明し通り、欧米では「瀬田クリニック」が行なっているような「免疫細胞治療」は既に終わった夢である。

そうなると、生きる希望を捨てたくない患者はどうするかというと、病院を飛び出して、自力で別の手段を探すしかない。 その弱みにつけこんでくるのが、「怪しい免疫療法」をうたう人々なのだ。

では、そのような状況に追いやられた時、我々はどうやって「まともな免疫療法」を探し出せばいいのか。 専門知識がなくてもある程度の見極めはできる、と後藤院長は言う。

「少し前に捕まった怪しいクリニックの医師は循環器専門医だった。 心臓にはがんはありませんので、美容外科とか、がん領域ではない医師の施す治療はおかしいと思ったほうがいい。 また、がん医療の世界で何十年でもやっていれば、医師同士互いに会ったことはなくても、名前くらいは知っているものです。 がん専門医に聞いてみて、『それ誰?』という医師のいるようなところは止めたほうがいいでしょう」(後藤院長)

世界で認められている「免疫療法」が、日本で「インチキ」になる背景 (4/5) - ITmedia

「『免疫療法』をうたって、科学的根拠のない治療を提供している悪徳クリニック」と医療関係者から評価されている「瀬田クリニック」の医師の「見極め」方法は信用しない方がよかろう。

カモにされないようぜひ肝に銘じたいところだが、一方で、このような免疫療法詐欺を撲滅するには、日本の医療制度を根幹から見直さなければいけない気もする。

これまで詐欺や悪徳商法を取材してきた経験から言わせていただければ、「詐欺師」と呼ばれる人々は、金をダマしとるため、誰が困っているのか、誰が弱っているのかを見極めて、お縄にならないよう、システムエラーの隙をつくことに長けた人々だ。

いまの日本でここまで免疫療法詐欺が問題になっていることは、裏を返せば、日本の医療というものが、がん患者やその家族が「カモ」にならざるを得ないほど、どうすればいいのか分からないと迷い、救いを求めているということでもある。 つまり、「標準治療が効かなければサヨウナラ」という日本のがん医療が皮肉なことに、免疫療法詐欺のナイスアシストをしているような状況なのだ。

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そのような状況は、当然、「免疫細胞治療」のような欧米でも終わった夢とされたものを正当化する根拠にはならない。


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