第098回国会 衆議院 予算委員会 第16号
これは丸山ワクチンの真相の一部である。
小林(進)分科員は、核心部分の鋭い質問を1つもしておらず、既に聞いているはずの回答も無視し、勝手に捏造した根拠なき持論と丸山ワクチンと関係ない話を持ち出してぎゃーぎゃー騒いでいるだけである。
○小林(進)委員 一日も早く改善を進めるという点だけはちょうだいいたしましょう。 ただし、全体の審議が云々だとか、がちゃがちゃがちゃがちゃ言っているようなことは決まり切ったことで、それは言わずもがなの答弁です。 そんなのを聞いているんじゃないのだ。私の言いたいのは、むしろ国大協に集まっている先生方、それは専門家であろうけれども、少し年をとり過ぎている。 どうもアクションが遅いのではないか。いま少し新進気鋭な諸君と、ひとつ人員を入れかえることもこの際考えておいた方がよいのではなかろうか、これは私の注文であります。
以上、注文いたしておきまして、これは文部大臣、また最後に別の問題で御質問いたします。
次は、ひとつ厚生大臣にお伺いいたしたいと思います。
日本ケミファの臨床データが偽造された。 一体これは何種類が偽造されたのか。時間がありませんから私から言いますけれども、ノルベダンあるいはシンナミンなど相当のものが、これはみんなデータが偽造されているのでありますが、そのほかトスカーナなどという、これも偽造のものがあるのです。 八十日間の製造禁止ですが、これは二月二十五日から解除になって、いまどんどんどんどん製品をおつくりなっておるようではございますが、これが社会に及ぼした影響というものは想像以上のものがある。 御承知のとおり、薬なんというのは人命にかかわる鎮痛剤であったり、顔痛消炎剤であったり、あるいはトスカーナなどというのは血圧降下剤、老人病には欠くべからざるものだ。 こんなのが全部偽造されているということになったら、薬なんというのは安心して飲めないのです。 こういう悪徳業者を八十日間、これは重いとか軽いとか、ジャーナリストによって評価は違いますけれども、私なんかは軽過ぎると思っている。 一罰百戒で、こんなのは永久に営業できないぐらいの厳罰処置可なりと思います。 しかし、これを許可した責任は厚生省でしょう。 厚生省の中で、一体これに対して責任をとる者が出てきましたか。 責任とらない。
同時にいま一つお伺いしたいのは、こういうデータを偽造した薬屋は、一体一会社だけですか。いいですか、ケミファだけですか。 ケミファだけであったと断言し得るだけの自信が厚生官僚、まあ大臣はちょいちょいおかわりになるから大臣を責めるのは何ですが、厚生官僚の中にこれがあるかないか、確信があるかないか、それを先にひとつお伺いしておきたいと思うのであります。
○林国務大臣 小林議員の御質問にお答え申し上げます。
薬がどのくらいの数かというお話がまずございましたが、これは事務当局の方から詳しく説明をさせていただきます。
私も、日本ケミファの事件が大変に国民に衝撃を与えたということは深く考えているところでございまして、薬というものは非常な信頼性を持っていなければならない、この信頼性が私は一番の問題ではないか、こう思いますし、そのためにわが方におきましても、薬事法に基づきましてその有効性を、また有効性等がない場合には承認を与えてはならない、こういうふうな規定になっておるところであります。 審査に当たりましては、中央薬事審議会におきまして、その道の専門家の方々の御審議を経てやったものでございます。
ただ、もう先生御指摘のように、こういうデータを偽って出したというようなことでございますから、こういった問題について当然、普通常識からすれば、そういった学会論文、学会雑誌等に出ているものを疑うということになるのは、私は大変に異例中の異例のことだろうと思うのです。 だから、そういったことについてだまされたということが役所の方の責任ということではあるかもしれません。 そういった意味では、役所の中の審査の仕方、審査の方法、いまの薬事審議会の審査の方法、大変たくさんの数が出ておりますから、その中でどういうふうな審査をしていくかという手続、組織等の問題につきましては、やはり検討を加えていかなければならない問題ではないかというふうに考えております。 いまの点につきましては、事務当局から御答弁させることをお許しいただきたいと思います。
古い事件であるので真偽の確認が難しいが、「日本ケミファの臨床データが偽造された」ことが本当であれば、由々しき問題である。 法律事務所の解説によれば、共同開発の相手方が「臨床試験の一部」を捏造したようで、それが発覚した結果、「製造承認が取り消されるとともに、製造販売の停止と製品の回収を命じられた」とされている。
「学会論文、学会雑誌等に出ているもの」は、世界中の医学研究者から内容を厳しくチェックされ、また、追試が行われる可能性があるため、捏造を行っても発覚する危険性が高いことは、今ならSTAP細胞論文捏造事件等で一般人にも十分に知られていることだろう。 学術世界の常識では、「学会論文、学会雑誌等に出ているもの」で捏造を行うことは、いずれバレることがわかっている自転車操業であり、愚か者のすることである。
○小林(進)委員 私は事務当局の答弁要りません。 私は内務官僚、特に薬務官僚に対して信頼をしておりませんから。 そんな形式的な答弁で限られた時間をとられたのじゃたまりませんから。
そこで、私は続いて申し上げますが、形さえ整えば、偽造されようと、ペーパーメーカーといいますか、これは化粧さえしておれば、内容はどうでも、ペーパー上だけで整っていれば、これは全部許可するのですか。 これが厚生官僚のいわゆる薬務行政ですか。 私はその点がどうしても腑に落ちない。 そうしておいて、人命に関するようなこういう重大問題をさっささっさと全部認可、許可している。 そしてこれができ上がってしまうと、審議会に諮ったんだから厚生官僚は責任なしと言って、責任一つとらなければ、悪かったと国民にわびるやつ一人もいない。 こんな行政が続いたら、国民の命なんか幾つあったってたまったものじゃありません。 了承できませんよ。
その問題と関連して私は言いますけれども、大臣、この前もわが党の川俣健二郎委員があなたに質問いたしました。 がんの新薬がまだ許可にならない。 許可にならないが、愛する妻のためにせめてこれをひとつ服用さして妻の晩年をみとりたいという声を、あなたは人道上の問題であるからといって、課長を派遣してその実情の調査をおやりになった。 私はそのことに対してあなたにけちをつけようという気はない。 それはあなたの行為はりっぱだ。 しかし、する行為があるならば、いまこの国会の中で、これは数年ですよ、国会の中にはいわゆる特別の超党派の委員の集団も設けられている。 これは丸山ワクチンです。 丸山ワクチンというものをがんの薬として、これは効果がある、これをなぜ許可しないかということで、丸山ワクチンを保険薬に採用するために、これは国会議員が超党派でつくって、そしてあらゆるデータをもって厚生官僚に要望しているけれども、いまだこれを、治験薬の範囲までは持ってきたけれども、まだ一般にこれを許可しない。 あなたは一人の関係者の要望で課長をお出しになったが、現在国民がどんなにこの丸山ワクチンの問題を要望しているかという実情をあなたごらんになりましたか。 厚生大臣、日本医科大学へ行ってごらんになりましたか。 毎日のように全国から集まっている、この丸山ワクチンを得たいということで行列をしている、この国民の切なる要望をごらんになりましたか。
大臣、これをごらんにならないとすれば、ちょっとおかしい。 あなたは課長か何かそこに派遣されましたか。 丸山ワクチンを使って治療をしている人が、いままで全国では延べ十七万六千人いるのですよ。 この丸山ワクチンを注射をしてから、いいも悪いも、この十七万六千人の中で丸山ワクチンに恨みを持っておる者は一人もおりません。 そしてそのカルテが全部そろっているのです。 十七万六千人のカルテが全部そろっているのです。 一部も欠如しておりません。 あなたはそれをごらんになりましたか。 いまでもこの丸山ワクチンを注射している人が日本で三万八千名いるのです。 いいですか、その三万八千名の九九%がもう全部進行性の末期がんです。 どこのお医者あんもさじを投げたという末期現象の患者が九九%、それが進行状態の中でこの丸山ワクチンの注射を受けているというのが現状なんです。 いいですか。 あなたはなぜこういうことに抵抗を続けている厚生官僚を払いのけてでもこの実情をごらんにならないのですか。 一人の要望だけで課長まで派遣しておいて、十七万八千人の経験を積みデータを持って、いまなお三万八千人もの人々が皆これにすがりついてその治療を受けている、注射を受けているにもかかわらず、あなたはそれを見過ごしているというのは、ちょっと大臣としての行政に不公平があるのではないかと私は思いますが、いかがですか。
○林国務大臣 小林議員の御質問にお答え申し上げます。
TNFの問題と丸山ワクチンの問題をお引きになりまして、不公平ではないかというふうな御指摘でございますが、TNFの方の問題は各先生方のところにも、恐らく小林先生のところにも私と同じ文面の御陳情が行っていたのだろうと思います。 これを読みまして、やはり切々と訴える気持ちがありますから、私も、それはなかなかむずかしい話である、まだ動物実験も完成されておらないし、そのほかのいろいろな臨床的な検査の問題もまだやらなければならないということであるし、大学の先生も、薬をいまやろうとしておられる先生も、また主治医の方も非常にむずかしいというお話でありますから、どういうふうな形でやったらいいだろうかということで、厚生大臣個人の資格として、担当の課長さんはお医者さんでありますから、その方に、行ってひとつ話をよく聞いてください、何かいい方法はないだろうか、こういう気持ちでやったわけでありまして、この気持ちにつきましては、私は丸山ワクチンを持っておられる方についても全く同じであります。
ただ、先ほど来日本ケミファの問題で御指摘がございましたように、薬というものはやはり相当厳しい審査を経た上でやるということの国民的な信頼がそこにある、そういったことからいたしますと、いまこの薬につきましての有効性その他の問題がまだ依然としてできないというのが薬事審議会での答申でございますから、そこで治験薬という形でいま御必要な方々にはお分けをしているというのが実情だと思っております。
私の方でいただいた数字は先生の持っている数字とちょっと違いますけれども、私は数字の問題ではないと思うのです。 数字の問題ではなくて、やはりそういったことをできるだけ早く解決されるように、これは会社の方にも言わなければなりませんし、現在会社の方でいろいろな形のデータの整備その他をやっているわけでありますから、それを待ってやりたい、こういうふうに私は思っているところであります。
中央薬事審議会も厚生省も、申請データを審査するだけであり、自ら実験を行ったりしないのだから、申請データが「形さえ整えば、偽造され」たものであれば、厚生省等にはどうしようもない。 申請データに明らかに矛盾があるなど不審な点があればともかく、上手に捏造されたデータでは疑いようがない。 欧米ではどこの国でも政府自ら実験を行ったりしないので、これは当たり前の話である。 当然のことながら偽造があってはならないが、効果を証明しないものを「まだ一般にこれを許可しない」のも当然のことである。
小林(進)委員は「丸山ワクチンというものをがんの薬として、これは効果がある」と主張する。 しかし、その証拠は何も提示しない。 少なくとも、第094回国会 衆議院 社会労働委員会 第20号の証言によれば、申請されたデータはいずれも丸山ワクチンの効果を証明していない。
小林(進)委員は「国民がどんなにこの丸山ワクチンの問題を要望しているか」と主張するが、「切なる要望」をしているのは、証拠もないのに効くと信じて疑わない一部の人間だけであり、それを「国民」と一括りにするのは誇張も甚だしい。 そして、「丸山ワクチンを得たいということで行列をしている」「丸山ワクチンに恨みを持っておる者は一人もおりません」は、効果が証明されていないものを承認すべき理由とはならない。
○小林(進)委員 大臣、日本ケミファはさっきも言っているように何も内容を調査もしない、でたらめなんだ。 よその資料をもって届け出の書類だけ、ペーパー上だけは整えたというのを完全だと言ってどんどん許可をしている。 それから、がんの薬だって出たものは全部許可している。 許可しないのが一つこの丸山ワクチンだけだ。 あとは継続中はありまするけれども、がんの薬で不許可にしたものは一つもない。 その許可したがんの薬の中でいわゆるピシバニール、クレスチン、これは皆大製薬メーカーです。 私は、癌学会の諸君と癒着しているとは言わぬけれども、大メーカーだ。 この諸君のやつを薬にして、いま一年間に幾らずつ売れていますか。 何百億円ずつとのピシバニール、クレスチンは売れているが、効果があると確信を持っている者がいますか。 ないからこそ何百億円も治療薬で用いながら、一方で本当に効くか効かぬかという研究機関を各関係業者から金を出していま改めて設けているじゃないですか。 その研究の結果はどうなりましたか。 本当に効くものであり、厚生省が許可したものなら、改めてそういう強大な研究機関を持って研究する必要はないじゃないですか。 そういうでたらめをやって何百億円もがん妙薬と称して金を取りながら、効き目があるかないかの研究機関を改めて設けている。 その研究機関の結果は後で資料を出してくださいよ。 いま設けているはずですから。 そういうことをしておきながら、一方で丸山ワクチンは一体何です。
あなたは資料を整えてと言うけれども、あなたの前の村山厚生大臣に出した薬事審議会の答申の中には、動物の実験がまだ足りないから資料として不足だと言うのだ。 そんなにネズミの実験が重要ですか。 こっちの丸山ワクチンではネズミじゃない、人体だ。 人間を十七万も十八万もやっているし、現在でもこの丸山ワクチンを事実使って実験をしている医者は全国で一万人です。 一万人の人の保証がなければこの治験薬は買えないのですから。 一万人の医者が一人一人保証して、これを売ってあげます、注射をしてあげますから丸山ワクチンを買いなさいと言ってこの先生方がやっている。 ネズミの実験と人間の実験と一体どっちが重要なんです。 そういうようなペーパープランやネズミだけに重心を置いてこれを許可しないところに、厚生官僚の断じて許し得ない問題がある。 まだ言いますよ。 限られた時間でもう時間がないから言います。
なおかつ、ここにはこの丸山ワクチンが効くという学者の経験が、資料がこれほど来ているのでありまするけれども、これは木本哲夫という川崎医大の教授です。 アメリカの学会、アメリカの医学会ですから権威があります。 その資料がありますが、全部資料を出して、アメリカの学会の中でもこれは承認せられておりますよ。 ここにみんな資料がありますから。 なおかつ東海大学から東北大学から、あらゆる大学から、丸山ワクチンの効果ありという緻密な資料が全部出ているのです。 なぜそういう資料に対して、やれ完全じゃないとか、やれいちゃもんがあるとかという、あらゆるけちをつけてこれを不許可にするのか。 あなた、いま欲しいならこれを見てください。 こういう優秀な、これは世界の学会の中で皆了承をされているのです。 それが一体なぜやり得ないのですか。 改めて私は言いますけれども、ネズミの実験データは必要だが、人間の実験データは用をなさないと言うのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○林国務大臣 小林議員の御質問にお答えを申し上げます。
丸山ワクチンの話に関連いたしまして、いろいろなデータその他いただきましたことはお礼を申し上げたいと思いますし、いまお話にありましたように、一万の治験薬という形でいま使っておるところでございますし、そういったいろいろな形でデータが積み重ねられた上で認められてくるのだろうと私は思います。 御質問は、ネズミの実験か人間の実験かと、こういうふうなお話でございますが、私は、ネズミが大事だとか人間が大事だということは申し上げるつもりはございません。 ただ、薬の実験をやり、医学の研究をするときには、ネズミであるとかその他の動物を使ってやるということが、これは日本のみならず世界の常識にもなっているところでありますから、そういったデータなしに、いきなりすぐに人間様に実験をしたり何かしたら大変なことになりますから、ネズミでやっている、そういったことで、これは学会でも一般に行われている方向でありますから、そういったルールに従ってやらなければならない。 先生もそうでありますし、私もそうでありますが、政治家がそういったものについて判断をして、よければいいのですが、悪いときにどうするかということがまたございますから、やはり薬の問題は冷静な科学的な評価というものをベースに置いてそれでやっていかなければならない、これが薬の信頼性を確保するゆえんのものだろう、こう私は考えているところでございまして、これからも一生懸命努力をさせることをお誓い申し上げまして御答弁といたします。
○小林(進)委員 厚生大臣の答弁を私は了承できませんよ。 あなた、それを役人に言われて言っているのでしょう。 私は政治家だから何も許可せいと言っているのじゃないのですよ。 こうやって一万人のいわゆる医学者、医学の専門家がこれを効果ありとして使っているじゃないか、一人として反対者がいないじゃないか。 がんの薬でこれぐらい専門家に圧倒的支持を受けている薬は他にありますかということをあなたにいま私は聞いている。 ないでしょう。 それをネズミに重点を置いて、この専門家の医学者の言うことをなぜあなたは用いないのかということ。 しかも、ここに川崎医科大学教授の木本哲夫先生、これほど微に入り細に入り資料をお出しになっているものがありますか。 人型結核菌体抽出物質(S・SM)の臨床比較対照試験成績(東海地区の臨床試験)なんて厚生省にありますか。 そうしてそれを世界の学会にもアメリカの学会にも発表せられているという、その資料を一つも重要視していないじゃないですか。 そしてピシバニールだのクレスチンだとか効くか効かぬような、そんなのを厚生省の官僚は売る手伝いをしているとも言わぬけれども、結果においてはそういうわけのわからぬものだけを一生懸命に売る手伝いをしていると言いたくなるくらいの不公平な医療行政をやっているじゃありませんか、われわれから見ますれば。 そこをひとつ大臣聞かしてもらいたい。 これは後でまた官房長官がおいでになったときに言います。
あなたの前任者の森下前厚生大臣は、丸山ワクチンを一日も早く人命救済のために採用すべきであるというわれわれと一緒にやった猛運動家、われわれの先頭に立って闘った人ですよ。 丸山ワクチンを守る議員連盟、議員懇談会の彼は有力な幹部であった。 私は厚生大臣になったら必ずこれは実施いたしますと言って、彼は大手を振って厚生省に入っていった。 入っていって厚生大臣になった途端にしゃべらなくなっちゃった。 何でしゃべらないか。 右顧左べんしているけれども、それは手にとるようにわかるんだ。 官僚に十重二十重に囲まれちゃって、しゃべりたくてもしゃべれないんです。 まさに厚生省は官僚天下です。 その前は村山達雄先生、これは大蔵官僚から厚生官僚へおいでになったから、官僚のおやりになることは手にとるようにおわかりになっているでしょうけれども、だからなかなか慎重に発言された。
その前の厚生大臣の園田直さんは何と言った。 この人も終始一貫丸山ワクチンの支持者だった。 そして、厚生大臣になると断じてこれはひとつ実施させます、私の責任でやりますと彼はしばしばわれわれにそう言ってくれたけれども、残念ながら厚生大臣の期間が短かった。 その関係と官僚の抵抗で、ついに彼は厚生大臣のときに日の目を見ずしてさびしく大臣のいすを去られていった。
そういうことで、この丸山ワクチンはそんな一遍の動物の実験がどうだなんというなまやさしい問題じゃないのです。 これは日本の学会も世界の学会も専門家も挙げて支持しているというのに、大きな世界的な世論が立っているときに、断じて厚生官僚だけが抵抗している。 そうしておいて、片っ方にはこういうペーパーだけで人の命を損うようなケミファなどというものをさっささっさとみんな許可しておいて、そして人の命をこれほど軽べつしておきながら、まだ一人も責任をとるやつがいないというんだ。 考えたら大臣、その首を切りなさい。 それでなければ官僚の姿勢なんか直りません。 またそれは、課長以上局長ぐらいになったら自分のやることに対して責任を持つのはあたりまえだ。 やりなさい。 私はあなたと問答する気はない。 やりなさい。 やって責任をとらせなさい。 やらなければまたこれをやるんだ。 分科会から次の社労委員会でも、あなたがやるまで私はがんばる。 こんなことは人道上許されるものじゃありません。 もしあなた決意表明して、やるという決意があるならしゃべってもいいけれども、ぐだらぐだらする答弁なら私は聞かなくてもよろしい。 よろしいですか。 やりますか。
○林国務大臣 小林議員の御質問にお答え申し上げます。
先生のお話もよくわかりますし、丸山ワクチンをぜひ認めろというふうな形での議員連盟ができていることも私も承知をしておるところでございます。 私の昔からの友人で現在東大の教授をしております篠原君、私は大変仲よしだったのです。 彼からも、私の息子が教え子だったものですから、一遍陳情に行くという話もありますし、私もその辺、気は十分にするつもりでございます。 ただ、先ほど来申し上げておりますように、やはり科学的な評価というものが薬にとっては一番大切なことである。 そうした意味でお医者の方々がいろいろな論文を出される、そういったことは当然中央薬事審議会の中にも反映されてしかるべきものであろうと私は思いますし、そういった手続を通じてやるということが薬の信頼性、ひいてはまた、丸山ワクチンの信頼性を確保するゆえんのものではないかというふうに考えているわけでございます。
○小林(進)委員 またあなたが言われたから言うけれども、それほど薬の信頼性を保つと言うのならば、でたらめなデータだけでもってそれを許可しておいて、何万人、何十万人にそんなでたらめなものを飲ませていた厚生官僚をちゃんと処分することから薬の信頼性を回復しなさいよ。 おやりになるならそれをおやりなさい。
それから、篠原教授というのは東大の法学部の教授、りっぱですが、篠原さんだけじゃありませんよ。 篠原教授を通じて大学の有名な教授の中でこれを飲んでいる人たちがたくさんいることはあなたも御承知のとおりです。 その人たちに一人としてこれはだめだという人がいないのです。 まさにその点も含めてやっていただきたいと私は思うのです。
「日本ケミファはさっきも言っているように何も内容を調査もしない、でたらめ」は何を言いたいのか意味不明である。
小林(進)委員は、「完全だと言ってどんどん許可をしている」と主張する。 しかし、厚生省は、申請データ上で効果が認められるものを承認するだけであって、「完全だ」などというお墨付きを与えるわけではない。
小林(進)委員は「がんの薬だって出たものは全部許可している」と主張する。 しかし、ここで言う「出たもの」とは、申請に「出たもの」なのか、それとも、世に「出たもの」なのか。 「がんの薬」に限った話ではないが、申請されたものに限るなら、承認される確率は非常に高い。 しかし、製薬会社が開発に関わったものであれば、承認される確率は非常に低い。 医薬品開発の期間と費用 -アンケートによる実態調査- 医薬産業政策研究所によれば、治験を実施した医薬品候補の22%しか承認されないのである。 治験にまで漕ぎ着けられなかったものを含めれば、もっと狭き門となる。 第5回 国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会資料1 臨床研究に関する現状と最近の動向についてによれば、医薬品の成功確率は数万分の1である。 ようするに、製薬会社が途中途中の段階で開発を断念しているのである。 承認基準を満たすデータが採れた医薬品候補だけを申請するなら、申請が高確率で承認されるのは当然であり、その確率の高さは何ら不正の証拠とならない。 明らかに基準を満たさないデータで申請したのは丸山ワクチンだけなのである。
小林(進)委員は「許可しないのが一つこの丸山ワクチンだけ」と主張するが、効果を証明しないものが承認されないのは当然である。 「よその資料をもって届け出の書類だけ、ペーパー上だけは整えた」レベルにすら達していないものは、当然承認できない。
小林(進)委員は「一方で本当に効くか効かぬかという研究機関を各関係業者から金を出していま改めて設けている」と主張する。 しかし、それは、おそらく、第095回国会 参議院 社会労働委員会 第3号で安恒良一氏が「ピシバニール、クレスチンについて効能をこれから二年がかりで追試する」としているものであろう。 これは医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬事法」)第14条の4の再審査のデータ取得である。 薬事法第14条の4の再審査は、「既に第十四条又は第十九条の二の承認を与えられている医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が明らかに異なる医薬品」(いわゆるジェネリック医薬品に該当しない医薬品。以下「新医薬品」)および「新医薬品」と「有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有すると認められる医薬品」の全てに求められるものであって、承認審査に疑義があるから行うわけではない。
小林(進)委員は「ネズミの実験と人間の実験と一体どっちが重要なんです」と主張する。 しかし、これは「どっちが重要」という問題ではない。 第094回国会 衆議院 社会労働委員会 第20号では、動物実験は、倫理的な手続きとして必要なものと説明され、丸山ワクチンはその手続きに問題があったと指摘されている。 動物実験等をしっかり行って、有効性と安全性の総合的な見込みが一定程度あることを確認してから、「人間の実験」に移行しなければならないのである。 政府側の証人は誰一人として「ネズミの実験データは必要だが、人間の実験データは用をなさない」などとは言っていない。 おそらく、小林(進)委員は、動物実験のデータが効果の証拠であると勘違いしているのだろう。
小林(進)委員は「それをネズミに重点を置いて、この専門家の医学者の言うことをなぜあなたは用いない」と主張する。 しかし、第094回国会 衆議院 社会労働委員会 第20号では、「東海地区の臨床試験」も含めて、科学的に妥当な評価で効果の証拠とならないことが説明されている。
「前任者の森下前厚生大臣は、丸山ワクチンを一日も早く人命救済のために採用すべきであるというわれわれと一緒にやった猛運動家、われわれの先頭に立って闘った人」は、単なる脅迫であって、効果が証明されていないものを承認すべき理由とはならない。
小林(進)委員は「日本の学会も世界の学会も専門家も挙げて支持している」と主張する。 しかし、一方で、「日本の学会」から差別されていると主張しているのも小林(進)委員らのような承認を求める人間である。 また、「世界の学会も専門家も挙げて支持している」なら、未だに欧米で丸山ワクチンが承認されないのは何故か。
「東大の法学部の教授」たちで「これを飲んでいる人たちがたくさんいること」(丸山ワクチンは飲み薬ではないはずだが、ここでは問わない)「その人たちに一人としてこれはだめだという人がいない」ということは、効果が証明されていないものを承認すべき理由とはならない。
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