!!!代替医療 治療効果が実証されていない治療法や補助的な用途で使う目的の治療法の総称が、代替医療です。米国国立補完代替医療センター(National Center for Complementary and Alternative Medicine,前:米国国立保健研究所代替医学局)などで研究が進められていますが、数が多いため殆どは未実証のままです。日本では[日本補完代替医療学会|http://www.jcam-net.jp/]等が検証作業を行っています。米国で代替医療が治療法として認められたとの誤解が広まっていますが、未検証の療法の研究を助成して、野放しにしないために教育の対象して採り上げているだけです。米国連邦議会技術評価局(Office of Technology Assessment)の1990年のUnconventional Cancer Treatments/OTA-H-405(非伝統的治療)も同様です。 補完的療法(補助的な用途で使う治療法)として、一部の療法にはQOL向上、再発防止、疼痛除去、生存率向上、不安解消などの効果があると考えられています。 その他の多くは、未実証か、または、有害であることが実証されており、一口に代替医療と言っても玉石混淆であることを良く理解しておく必要があります。 !!!実践方法 [四国がんセンター|http://ky.ws5.arena.ne.jp/NSCC_HP/top_page/]が[がんの補完代替医療ガイドブック:民間療法とうまくつきあうために|http://ky.ws5.arena.ne.jp/NSCC_HP/shinryo_info/gan_no_hokan_guidbook/gan_no_hokan_guidbook.pdf]を公開しました。一部細かい部分の間違い(AHCCの論文は、[研究デザイン判定のためのアルゴリズム|http://www.medical-tribune.co.jp/BENRI/type/type.htm]にあてはめると、研究者が暴露を割り付けていないため、非ランダム化比較試験ではなくコホート研究になる)はありますが、基本的には、このガイドブックを参考にすると良いでしょう。それに書かれている通り、信頼できる情報をしっかりと集めて、医師に相談して使うのが基本です。健康食品の場合は独立行政法人 国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報等を参考にしてください。 ただし、以下のような注意が必要です。 !!疾病の特殊性 たとえば、肝臓がんのほとんどはC型肝炎由来であり、再発率もC型肝炎ウィルスの有無によって大きく変わって来ます。これは、肝臓がん特有の特徴であるため、肝臓がんに効く物があっても、それは、肝臓がんだけの話だと割り切るべきです。 !!バイアス 詳細は[EBD用語集|http://ebd.umin.ac.jp/research/glossary.htm]を参考にしてください。 !交絡 簡単に言えば、これは、治療効果となった要因を取り違えてしまうことです。コホート研究以下の研究には、交絡が含まれている可能性があります。 !出版バイアス(発表バイアス) 成功した研究のみが報告され失敗した研究は報告されない傾向があります。具体的な研究が少ない場合、特に注意する必要があります。 !観察者バイアス 研究者の先入観によって診断や治療が偏ってしまうことです。ランダム化比較試験以外には全て観察者バイアスが含まれていると考えるべきでしょう。 !その他のバイアス 患者対象研究以下の研究結果は、基本的に、全てのバイアスの存在を疑うべきでしょう。 !!効果 有意差はバイアスを除く統計的な確かさを示すものであって、効果の大小を示してはいません。よって、有意差が得られたからと言って、それが高い治療効果を示しているわけではありません。 !!その他の注意事項 !有害事象 代替医療と呼ばれる物には有害な物も少なくありません。それ自体は有害でなくても、治療や他の食品との相乗効果で有害事象が現れることもあります。死に至る程の危険な有害事象も珍しくありません。使用する場合は、事前に医師に相談しましょう。 !価格 代替医療は、効果が実証されていない(=効く可能性が低い)物や補助的な効果しか得られない物です。それらを過大評価して大金をつぎ込み、後々、後悔することは避けたいものです。ダメ元だと自覚した上で、費用対効果を考えましょう。 !その他の負担 代替医療には、味がとてつもなく不味かったり苦痛を伴う物も少なくありません。ダメ元だと自覚した上で、それらの苦痛も許容できるかどうか考えましょう。 !効果 万に一つの効き目であっても、その人に効くのなら意味があるはずです。しかし、効き目の程を確かめもせずに、ただ漠然と効くかも知れないと使い続けるのは無駄です。医師の指導の元に使うなら、効果も確認できるはずです。効果が出ているならば継続して使うのも妥当な選択肢になるでしょうが、効果が認められないなら継続使用は様々な負担と比べて割に合わない選択でしょう。