独自基準の丸山ワクチン研究

丸山ワクチンの真相

独自研究 

○梅原参考人 初めに、参考資料を提出いたしました。よろしゅうございますか。――配っていただきます。
身分のことについて一言申し上げます。七月一日付で第一外科医長に配置がえを受けましたが、六月三十日までは第二外科医長でありましたから、まさしく私は梅原誠一でございます。
話しなれないものですから、用意しました原稿を読ませていただきたいと思います。
私のSSM使用症例は、社会保険中央総合病院における二百西十一例と国立熱海病院における百七十五例であり、総計四百十六例に達しております。
私が厚生省中央薬事審議会に報告書を提出しましたのは昭和五十一年のことであり、まだSSMの、丸山ワクチンのことですがそう呼びます、 構成成分すら明らかにされていない時代でありました炉、すでにこのような報告書に対照例のないこと、効果判定基準をがんこなまでに昭和四十二年外科学会発表当時に用いた独自のものとしたことの二点で、 審議会から見れば無価値に近いものであろうことは私自身が予測しておりました。 しかしこの時点では、他施設による臨床治験例は少ないことから、第一次申請の旗上げ的な役割りと考えて、社会保険中央総合病院の症例のうち完全な手術のできなかった症例、 非治癒切除例と申します手術の全くできなかった症例、たとえば試験開腹に終わった症例及び再発例の百七十四例をまとめて報告書を作成いたしました。
効果判定基準として学会提唱の基準を用いなかった理由は、延命効果を主とするSSMの効果を制定するには、腫瘍の縮小を目安とする化学療法剤の効果判定基準は不適当であると考えたからであり、また、常に手術との併用にこそこのSSMの効果を期待し得ると主張しております私が、手術例について報告しなかった理由は、これこそ厳密な対照治験で物を言うべきことであり……
第094回国会 社会労働委員会 第20号(http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/094/0200/09407300200020c.html)


効果判定基準として学会提唱の基準を用いなかった理由は、延命効果を主とするSSMの効果を判定するには、腫瘍の縮小を目安とする化学療法剤の効果判定基準は不適当であると考えたかちであり、 また、常に手術との併用にこそこのSSMの効果を期待し得ると主張しております私が、手術例について報告しなかった理由は、これこそ厳密な対照治験で物を言うべきことであり、 一般病院に勤務する私には、症例数の点でも、救いを求めて来院される患者さんたちの要望から考えても不可能なことであり、後に専門施設に依頼すべきものであると考えたかちであります。
さて、私の第一次申請用報告書について申し上げますと、その極値は、刻々と死に近づく闘病生活の途上で患者さんたちが残していってくださったデータの写真集にあるものと思います。 写真は事実の記録であり、絵のように作成されるものではありません。
私の報告した症例の大部分は、一時好転を示した症例でも、死亡いたしましたが、延命効果を主として判定した有効率は、化学療法剤マイトマイシン併用例を含む全症例で四四%約半数を占めるSSM単独療法で三五%であります。マイトマイシンの投与法は、原則として二十ミリグラムをただ一回だけ静脈注射をするものであり、これは現在の化学療法から見ればかなり微量なものと考えます。
私の言うやや有効例は主観的なものであるとされることが多いと思いますので、これを無効例に入れてもこの成績があるのでありますが、 この主張の根拠として私の写真集が役立つと思われますので、わずかな部数でありますが、この委員会に提出いたしました。 委員長に御承認いただければ配付していただきたいと思います。 私以外の参考人として出席されている諸先生にもお渡し願えれば幸いであります。
私は、すでに述べました理由で、現時点における審査の対象はしっかりした基礎実験の成績であり、また厳密な対照例をとった臨床治験成績であるものと考え、 私の報告書はとうの昔に廃棄されているものと思っておりましたが、今回この委員会に出頭するに当たり、本会に提出する目的で私の報告書の残部を取り寄せて、驚きました。
第一に、今回の審査対象にこの報告書も含まれていたことであり、第二には、貴重な私の症例の写真が、粗悪な印刷により私の手元に残しておいた写真貼付による第一次報告書のものとは似ても似つかぬしろものになっていたことであります。
この報告書により桜井先生に効果判定をお願いしたのだとすれば、無効判定を下されたことに異論を唱えるわけにはいきません。 症例報告の文章は幾らでも作文できるものであり、写真が不鮮明であり文章しか当てにならない場合は、否定されてもいたし方がないからであります。
本日の報告書には、私の病院の複写機によるコピーと、急遽私のスライドからプリントした写真を貼付してあるわけでありますが、よりはっきり治療効果を読み取っていただけるものと思います。
私は、昭和五十四年十月、第三十四回国立病院療養所医学会総会におけるがん免疫療法の臨床というシンポジウムで、国立熱海病院の症例七十六例について報告いたしましたが、 この報告では、やはり腫瘤縮小を目安としてはいても、比較的SSMの効果判定に応用し得るカルノフスキーの判定基準を用いて判定を試み、四〇%の有効例を得ております。 しかし、ここでも学会報告では余り耳にしない薬効第II群、すなわち腫瘍の発育がとまりあるいは遅くなり、患者は生存するというグループが二八%を占め、SSMの延命効果を主とする薬効の特徴を示しました。
委員長、別にここへコピーをとって配付していただきたいものをお渡ししてありますが、よろしかったら配付してください。
私は、昭和五十三年以来、事情が許す限り術前投与の後に手術標本を検討することに努め、また、やむを得ない併発症のために再手術を行った症例の転移巣などの検討を行って、 SSMの効果を探索してまいりましたが、著効を認めた標本の顕微鏡写真を第一次報告書の最後に貼付してありますので、ごらんいただきたいと存じます。 これは国立病院療養所医学会総会に提示したものでありますが、卵巣がん再発により腸通過障害を来し、よその病院で化学療法剤フトラフール六〇〇ミリグラムを六カ月投与された後、私の症例となった七十八歳の患者さんであります。 免疫力を障害しないとされているフトラフールを継続したままSSMの併用を開始、さらに八カ月後に皮下脂肪組織内の転移巣を切除したものであります。
最後の写真をごらんください。がん細胞は化学療法剤の影響を受けたようには見えません。がん細胞付近にリンパ球と思われる細胞が攻め込んでおり、しかも戦いの跡は瘢痕化しております。
現在、各施設による基礎実験でSSMの作用機序は各段階で解明されておりますが、この写真は、それらの各段階を介しての最後の像を示しているものと思われますし、 また私の第一次報告書の著効例が示した臨床データの写真の変化を理解するのに大いに役立つものと考えます。
現在までのところ、がんの自然退縮例の頻度は八万ないし十万例に一例とされております。私が報告した百七十四例の中の著効例、十一例だけをとってみても、 腫瘍効果を示した症例はもちろん、きわめて異常な状態に陥りながら延命した症例の頻度は高く、しかもこのうちの三例は現在まで十年以上生存中であります。
不幸にして私は自験例を持ちませんが、すでに市販されている他の免疫療法剤による治療症例と比較していただいても、決して遜色はないものと確信しております。
多くの偉大な研究の発端は、単なる事実である事例は数多くありますが、私は治験第一例の効果に驚いて、臨床経験わずか六年余の若輩であった私の願いを許してくださった社会保険中央総合病院の外科で治験を始め、 現在に及んでおります。しかし、私自身はその効果を解明するための実験は全く行わずに症例を重ねるだけでありました。
SSMの基礎実験では、周知のごとくすでに多くの成果が発表されるに至り、また臨床的には、東海地区SSM研究班の治験のように、 学会の約束に従った上での研究で外科的な立場からその有効性が確認された現在、私は世間にうそをつかずに済んだと安堵しているところであります。
委員長、東海地区のデータを、先ほど桜井先生が症例が少ないとおっしゃいましたが、これもコピーをとって配付していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
多くの医師がSSM使用依頼の申し出をその意に反して受ける場合は、現代医学の限界を、当面する患者さんに関して告知する場合ではないかと想像されます。 これはたとえば手術したってこのぐらいだよというようなお話をしてしまうと、手術するならSSMの方がよかろうと希望するのではないかと想像されます。
私は当初マスコミに発表された、昭和四十一、二年のころでございましたが、発表された当時を除いて、患者家族にSSM使用を希望されたことはほとんどありませんし、 また可能と考えてお勧めする手術を拒否された経験もありません。私自身が治療方針を立て、SSM併用の許可を得て治療に当たり、トラブルもありません。 手術不能例にはもちろん使用しておりますが、患者さんの苦痛をやわらげることに役立っているからこそ、それが実績となって、次の症例の家族がまた治験を承諾してくれるものと考えております。 日本医大の研究施設に集まる症例もまた同様であろうと思われます。昭和五十一年に丸山先生が出された御本、単行本ですね、あれには私自身が強い困惑を感じました。 あれを読んだ結果と思われますが、手術をきらって不幸な運命をたどった症例を私自身も二、三例は知っております。しかし過去十六年にわたって日本医大に集まる患者さんたちが、すべて無知なるがゆえに列をなすものとは考えられません。 やはり実績によりその数を増すものと思われます。 このことは過去に話題になってやがて消え去った公認、非公認を問わない多くの薬剤のことを考えれば、明らかなことであります。 効いているからこそあそこに集まるんだと思います。
私は一刻も早くこのSSMがごく自然に臨床医の手に入るようになり、その上で各臨床医が自分の治療手段に組み込むか否かを自由に選択できる状態が実現することを強く希望いたします。 そうした段階になってこそ、さらにより正しいSSMの評価がなし得るものと信じております。
第094回国会 社会労働委員会 第20号(http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/094/0200/09407300200020c.html)

これは、インチキ“治療”法で良く見られるようなお手盛りの独自基準での効果判定であり、丸山ワクチンの有効性を示しているとは言い難い。 このような独自基準での効果判定を用いれば、どんなインチキ“治療”法でも効くことになってしまう。