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混合診療解禁論

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がんに関する情報は総論[1]だけでも多く、各論はさらにも多岐に渡ります。そして、各論にも一般論的各論[2]と個別論的各論[3]があります。がんという病気や治療法の知識は、一言では語れないほど多岐に渡るものであり、単純に答えが導けません。そのうち、当サイトが扱う情報は総論と一般論的各論です。個別論的各論については、各自がインフォームドコンセントセカンドオピニオンで確認してください。当サイトの情報は、インフォームドコンセントセカンドオピニオンを受ける前の予備知識として活用してください。情報を鵜呑みにしてはいけません。主治医に相談するなどの真偽の確認は閲覧者自身が行ってください。

[医療制度]

混合診療解禁論のおかしなところ

混合診療解禁論を声高に唱える人達が居ます。しかし、彼らの言ってることは何か変です。

 絵に描いた餅

混合診療を解禁すると良いことばかりで悪いことは一つもないように言う人もいます。しかし、絵に描いた餅は、それこそ悪しき行政の専売特許です。絵に描いたとおりの素晴らしい結果だけが得られ、予想外の失敗は何も起こりえないと言い張るなら、それは、国民から散々非難された箱物行政そのものです。地方誘致して閑古鳥が鳴いている道路、鉄道、空港がどれだけあるかご存じでしょうか。それらは、希望的観測で塗り固められた需要予測を元に大型公共事業を次々に行った結果です。

こうした過去の経緯を見ても、希望的観測で塗り固められた予測には何の説得力もありません。

 問題点のすり替え

現行の医療制度の問題点を何もかも混合診療禁止のせいにしている濡れ衣も見掛けます。たとえば、欧米で当たり前のように受けられる治療が日本ではいつまで経っても受けられないから、混合診療を解禁すべきだとする意見があります。しかし、それは、混合診療禁止のせいではなく、承認の遅れのせいです。混合診療解禁では根本的解決につながりません。そして、本当の解決を目指す真の改革案は無視されています。

 禁止と解禁の差のでっち上げ

混合診療の禁止と解禁の差でない事を、両者の差であるかのようにでっち上げた話も見掛けます。

前提が矛盾

とあるホームページの記述には、保険適用範囲を適正にすれば混合診療を禁止する必要はないと書かれていながら、その数行下には、保険適用範囲が適正でないから混合診療を解禁する必要があると書かれてあります。保険適用範囲を適正にすることが可能なのか不可能なのか、一体、どちらが正しいのでしょうか。この方の言い分を真に受けると、適正化が可能なら混合診療を禁止する必要も解禁する必要もないはずですし、適正化が不可能なら混合診療を禁止する必要も解禁する必要もあることになります。どちらにしろ、この論理では解禁論に有利な結論にはなりません。この方は、持論に都合の良い話だけを恣意的に選別して持ち出していることになります。

禁止の方が儲かるのか?解禁の方が儲かるのか?

とあるホームページには、悪徳医師が既得権益を守るために混合診療禁止に固執しているように書かれる一方で、混合診療解禁はビジネスチャンスのように書かれています。禁止の方が儲かるのか、解禁の方が儲かるのか、一体、どちらが正しいのでしょうか。解禁の方が儲かるなら、何故、悪徳医師は儲け話に反対し儲からないやり方を維持することに固執するのでしょうか。本当に悪徳なら儲け話に飛びつくのではないでしょうか。常識で考えれば、儲け話に反対するのには全く別の理由があるからです。それは、純粋な患者のための善意ではないのでしょうか。それとも、他に何か理由があるのでしょうか。

解禁したときだけ何故か善意が集まる

とあるホームページには、貧乏人からは金を取らなければいいとか、貧乏人は現物払い等の気持ちで治療費を払えばいいとか、混合診療を解禁すれば善意が集まるかのように書かれています。しかし、そんな善意の人が多数派なら、現行制度で十分に対応できるはずです。何故なら、現行制度でも、治療費を病院が肩代わりすることは禁じられていませんし、患者による寄付行為も禁止されていないからです。いや、善意で全てが解決するなら、保険制度どころか日本政府さえ必要ないでしょう。なぜなら、公的機関は全てボランティアで賄えるはずだからです。しかし、現実を見れば、そんなことがあり得ないと誰にも分かります。

混合診療を解禁すべき真の理由とは?

混合診療反対論は、混合診療を解禁すれば新療法が保険で認められなくなるとする前提であって、新療法を保険適用すれば問題はない」とする意見がありますが、それならば混合診療の必要性がどこにあるのでしょうか。保険適用の療法で国民に十分な治療機会が与えられ、治療機会の喪失がないならば、どうして混合診療を解禁する必要があるのでしょうか。

規制改革・民間開放推進会議が求めているのは国民健康保険の民間開放ではなく混合診療の全面解禁です。どうして、規制改革・民間開放推進会議は、国民健康保険の民間開放を求めず、混合診療の全面解禁を求めるのでしょうか。それは、国民皆保険制度を維持したままでの民営化では、参入したい企業にとって儲け話としての旨味に乏しいからです。混合診療の全面解禁を求めるのは、自由診療には儲け話として旨味が多いからです。規制改革・民間開放推進会議の真の狙いは、現在保険未適用の医療を将来に渡って保険適用とせずに自由診療のまま据え置き、そこに民間参入して利益を稼ぐことにあります。

規制改革・民間開放推進会議委員名簿を見ると議長が保険商品を取り扱う会社の取締役なのを始めとする企業関係者が殆どを占め、医療問題の専門家も患者の代表も不在です。これに対して「すでに決められた路線を承認するだけの委員会」「医療関連の巨大マーケットに群がるハイエナ集団に審議されている」とする非難があることも付け加えておきます。

民間開放は効率的?

そもそも、国が行っている事業を民営化すれば本当に効率的になるのでしょうか。そこで言われている効率化は、国が果たすべき責任を放棄することを前提としていないでしょうか。

たとえば、郵便を国の独占事業としているのは、国民に等しい郵便サービスを提供するにはユニバーサルサービスが不可欠という大義名分があるからです。郵便事業に参入したいと手を挙げた企業はありましたが、その企業はユニバーサルサービスの義務化には強硬に反対しました。その企業の望む条件で国営の郵便局より民営の運送屋の方が効率が良くなったとしても、それはユニバーサルサービスが経営の足かせになっていることを示しているだけで、民営化による効率化を示してはいません。違う条件で比較して良いなら、何とでも結論をこじつけられます。義務づけるなら義務づける、義務づけないなら義務づけない、どちらにしろ同じ条件で比較しなければ、国営と民営のどちらが効率的かは分かりません。

このように、国営より民営の方が効率的とする話は、同じ条件で比較されていないことが多いようです。国が果たすべき義務を放棄して良いなら国営でも効率を追求することは可能でしょうし、国が果たすべき義務を背負わなければならないなら民営でも効率を追求することは難しいかも知れません。郵便事業にしろ、医療事業にしろ、同じ条件でも本当に効率化できるなら、同じ条件でも民間企業は喜んで参入するはずです。国と同条件とすることを民間企業が頑なに拒否するのは、その条件では旨味がないから、つまり、国営以上の効率化を果たせる自信がないからではないでしょうか。また、郵政民営化がユニバーサルサービスの義務化等によって骨抜きにされたとも言われていますが、本当に民営化によって効率化できるなら、ユニバーサルサービスの義務化で骨抜きになるはずがありません。

同じことが医療制度にも言えます。医療において、国が果たすべき責任とは国民皆保険制度のことです。国民皆保険制度を放棄することを前提とした効率化は、民営化の功績ではありません。国民皆保険制度を放棄してまで効率化を追求する必要があるとしても、そのことは民営化の必要性を示していません。もし、民営化によって効率化が果たせるなら、国民皆保険制度を維持したままの民営化でも効率化できるはずです。つまり、民営化と国民皆保険制度は全くの別問題なのです。混合診療による効率化の話は、両者を混同したトリックに過ぎません。

自由診療は本当に儲かるか?

混合診療解禁しても、儲ける余地が生じるだけで儲かるとは限りません。確かに、企業にとっては儲けるチャンスが増えるでしょう。しかし、儲けるべき人が儲かるとは限りません。美容専門の医療機関、金持ちを専門にする病院等が儲かる一方で、貧乏人の命を救う善意の病院は赤字に苦しみ、高額な医療費が足かせになって満足な治療も出来ないということにさえなりかねません。儲けたい企業は、儲かる所にだけ投資し、儲からない所に関わらないでしょう。企業にとってはそれで良くても、患者はそれではたまりません。

自由診療で得た利益を元に貧乏人を無料で治療する善意の医者も生まれると言う人が居ますが、果たして、そのとおりになるでしょうか。確かに、世の中には自己の利益より他人の利益を優先する人が少なからず居ます。しかし、善意で汗水垂らして働く人が多数派なら、そもそもの民営化議論は不要なはずです。仮に、金持ちには相場の倍の額を請求し貧乏人は無料にする病院があったとしても、金持ちだけを相手にして相場の額を請求する病院に顧客を取られるだけです。価格の自由化は自由競争を促すことが目的なのだから、価格的淘汰が進まないとその目的は達成されないはずです。価格的淘汰が進まないなら、自由診療は医者が患者の命を盾に暴利をむさぼる道具に成り果てます。価格的淘汰が進むと仮定すると、治療費が適正価格に落ち着くのだから、個々の治療で得られる利益は限られた物になり貧乏人を無料にするための資金源とするには不足でしょう。

現行制度でも、薬価差益は殆どないと言われています。薬価差益の解消で薬価は下がらず納入価のみ上がったとする指摘もあります。薬価差益と言えば、暴利をむさぼるようなイメージがありますが、実際は薬の管理経費など診療報酬で認められていない経費を捻出するための裏技でもあります。薬価差益で利益を上げたいなら、現行制度も自由診療も関係なく、ただ、納入価を下げれば済むことです。しかし、自由競争で適正価格になるならば、薬価差益分は、そのまま医療費の値下げになるはずです。だから、自由競争の促進を建前とする自由診療の方が薬価差益で儲けることは難しくなります。

自由競争によって淘汰されるなら、病院の利益は適正な範囲に収まるはずです。風邪の治療費にベラボーな金額を請求する病院は淘汰されるはずです。国民の多くは、そうした日常的な疾病に多くの金を払いたくないと思っているはずだから、日常的な疾病で暴利をむさぼることは不可能です。一方で、現状でも、美容系の自由診療は大変人気があり、そうした自由診療を目的とした開業医が増えています。結局、自由診療によって儲かるのは金払いの良い客が集まる所だけです。美容等命に関わらない診療だけが儲かり、命に関わる診療が儲からないのでは、誰も疾病の治療をしたいとは思わないでしょう。美容専門の医療機関ばかりになり、疾病を治療する病院は何処にも見あたらないなどということにもなりかねません。

混合診療禁止の些細な欠点

現行制度では保険診療と自由診療を同時に受けられず二度手間だとする不満があります。しかし、その程度の不便さは、混合診療解禁のデメリットの比べれば、我慢すれば済む程度の些細なことではないでしょうか。自由診療に払うお金があるなら、その程度のことは患者本人の努力によって解決できる問題です。その程度の問題のために、患者本人の努力で解決できない問題を犠牲にするのでは完全な本末転倒でしょう。

混合診療を認めないと少しお金を足してより良い医療を選択することができないと言う人がいるでしょうが、実は、既に認められています。差額ベッド代や高級入れ歯の差額等は、特定療養費として認められているのです。また、研究途上の治療も高度先進医療として特定療養費に盛り込まれているので、患者の治療機会の点でも現行の混合診療原則禁止に欠点があるとは言えません。

混合診療解禁によって生じる問題

保険診療を拡大すれば混合診療を解禁する必要はどこにもないはずです。言い替えると、混合診療を解禁するのは保険診療を拡大する意思がないと読みとれます。混合診療で治療が受けられることを言い訳にして、保険診療の拡大が見送られるであろうことは容易に予想がつきます。

日刊ゲンダイでは具体的な話として混合診療解禁でおこる患者の悲劇を紹介しています。

混合診療のメリット

現行制度でも自由診療でならお金さえあれば治療を受けられます。混合診療を解禁しても、薬代さえ払えない貧困者にとっては何の解決にもならず、治療機会が拡大するのは一部の中上流階級の人たちだけです。このように、治療機会の喪失は、混合診療解禁では根本的に解決できず、保険診療の拡大が必須事項となります。

結局、混合診療解禁によって得をするのは、福祉の放棄によって負担の減るお金持ちと患者の命を食い物にする企業だけでしょう。

患者団体が混合診療解禁を求めている?

患者団体は混合診療解禁を求めているわけではありません。むしろ、混合診療解禁には反対しているくらいです。患者団体が求めているのは治療機会であり、そのために保険診療の拡大を求めています。そして、現実的に保険診療の拡大が一朝一夕で出来ないことも知っているので、それまでの間の一時的かつ限定的な措置としての混合診療解禁を提案しているに過ぎません。患者団体の発言を見過ごせない日本の医療改革 規制改革・民間開放推進会議の嘘から引用します。

癌と共に生きる会」の事務局長は、こう語っている。

「完全解禁は望みません。医療に貧富の差がついたり、安全でない薬が使われるのは違うと思うからです。国民皆保険という素晴らしい制度で、世界標準のがん治療を受けることが私たちの最終目的なんです」

日本がん患者団体協議会」の事務局長も同意見だ。

「僕たちは、混合診療に全面的賛成でも反対でもない。今のままでは死ぬだけの患者がいるのに、厚労省が何もしてくれない以上は、1年に限って緊急に混合診療を解禁し、その間に、僕たちも入れた関係者で、抗がん剤に限らず、未承認薬の特定療養費や公的保険への迅速な適用を徹底して話し合う現実的対処を要望しているだけなんです」

補足

官営か?民営か?に官民の長所短所の比較を載せました。

最終更新時間:2006年03月19日 23時48分21秒

医療制度

  • [1]発症メカニズム、進行の仕方、治療法の一般論等
  • [2]胃癌の傾向や治療法、大腸癌の傾向や治療法・・・等
  • [3]個別の患者の病状とそれに適した治療等

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